16. DM展(1)

会期:2016年8月27日(土)ー9月17日
水・木|12:00ー17:00 金・土|12:00ー19:00 ※日・月・火 休
会場:hibit
DM 選者:佐藤克久(美術家) /フライヤーデザイン:川村格夫(ten pieces) 

トークイベント「DM とは何か(1)」
日時:8月27日(土)17:00 ~終了後レセプション
登壇者:佐藤克久、石崎尚(愛知県美術館学芸員)、末永史尚、冨井大裕
先着 30 名程度、予約不要 

DMとは何だろうか(註1)。招待状であり、展覧会の存在を表明する為の告知物であり、さらには展覧会そのものを体現する物体であり…。定義しようとすれば簡単にできるものでありながら(=招待状)、私たちは、そう簡単には定義できない存在としてDMを捉え、扱おうとしている。個人の予算範囲で作ることのできる印刷物でありながら、DMが効果を及ぼす範囲は私たちの想像よりも広い。無限の可能性を孕んだ、サイズの限定された紙に、制作者(企画者、作家、デザイナー)は様々な趣向を凝らす。実際の展覧会より先に制作されるが故に、作家がDMに対して展覧会以上の思いを注いでしまうこともあるだろう。この様な意味から、DMは展覧会の代理人として――代理人であるが故に、別種の魅力と熱量を伴って私たちの前に届けられるのである。さて、そんなDMは本体の展覧会が過ぎ去った後、どの様な運命を辿っているのだろうか。代理人としての役目は終わり、展覧会の影というには思い入れの強すぎる「熱量が圧縮された薄物」は、一体何者として制作の当事者に、そしてDMを一方的に/能動的に受け取った者達の手元に残っているのだろうか。本展は、展覧会が過ぎた後に残されたDMを主役として、単なる記録物としてではないDMの別の側面を考察することから、展覧会=人が何かの発表をする機会にかける思いとは何かを考察する試みである(註 2)。

冨井大裕 

(註 1)本企画における DM は、美術に関係した展覧会、イベント等の告知の為に制作された印刷物を指す。 
(註 2)企画者は、一度の機会から答えを導きだせるとは考えていない。様々な立場の方に選者を依頼し、継続していく予定である。 

選者への依頼内容:
企画趣旨を選択基準の前提に、これまで他者から届いた/渡された、もしくは何処かで入手し、現在も保存しているDMから気に入っているものを7点選ぶ。
以下の理由により気に入っているものは除外する。
・展覧会自体が印象に残っている、気に入っているという理由のみで保存している
・入手経路、送り主が印象に残っている、気に入っているという理由のみで保存している
→DMそれ自体の機能、存在感、印象などを基準に選択をする展示DMと佐藤克久氏のコメント 

1.泉孝昭 / 泉孝昭個展
・会場:art space dot (1999年)
ネタバレになるので多くを語れませんが良く出来たデザインです。どこが?と思ったらその時点で自動的に負けてしまう仕組みが凄いです。 

2.TOM FRIEDMAN / New Works
・会場:小山登美夫ギャラリー (2001年)
イメージの作品は完成している状態なのか途中なのか想像力をかき立てます。細かい部分は見ていて飽きません。とにかく確かめに展示を観ないとわからないなぁと思いました。 

3.田中功起 / 隠れ作業
・会場:ギャラリーαM (2001年)
DM情報だけでは何が作品でどんな展示かサッパリ分からないのでこれもまた確かめないといけないと思いました。 何かしらの気配があり不気味さもあり同時に作家のふてぶてしさも感じられ、その正体を確かめたくなりました。 

4.渡辺英司 / ”View”
・会場:KENJI TAKI GALLERY (2001年)
見た途端に見る事について考えさせられます。期待感とその他をストーリーとして想像してしまいます。 

5.髙柳恵里 / 髙柳恵里展
・会場:ギャラリー人 (2003年)
とにかくこのイメージ(作品)は真似したくなりました。何度真似て遊んだことか!しばらく見ていなかったのですが、久しぶりに見てまたやりたくなりました。 

6.多田友充 / THE KING IS HERE
・会場:ZENSHI (2009年)
文字のみのDMの中でインパクトがあったものです。 自分には選べない文章と自分では決してやらないであろう金文字の使用をカッコイイなぁと、素直に思いました。無い物ねだりな気持ちです。 

7.川角岳大 / < arf >
・会場:florist_gallery N (2016年)
はじめは紙が凝ってるなーぐらいの印象でした。しばらくして構造に気がついて素材の特性を上手に活かしているなぁとしてやられたと感じました。 しばらく気がつかない自分に歳とったなぁと反省しました。 

フライヤーPDF※仕様:A4カラー両面印刷(コピー機印刷)

佐藤克久
1973年広島生まれ。愛知県在住。
http://satokatsuhisa.jimdo.com

川村格夫
http://www.ten-pieces.com/